悩んでいるのはあなただけではない

私が受ける相談の中には、前述したような理由で悩まれていた方もいらっしゃいます。ひとりの子どもを宿ませるということは、人間ひとりの人生を抱えるということなので、みなさん大変悩まれ苦しんでいます。また、その悩みをどうにかしようとしても、そう簡単にはいかないのが実情です。

すべてが幸せにおさまる訳ではないのですが、ひとり悩んで苦しむより、ママやお子さまにとっては最善な道を専門家たちにゆだねるのが一番の方法です。

どんな相談先があるの？どんな人が相談にのってくれるの？ 

妊娠・出産に関する不安や悩みに対し、相談窓口でお話しを受けています。利用できる制度やあなたをサポートするサービスのご案内もしてくれるはずです。

もちろん、メールや電話で相談できます。相談窓口には助産師・社会福祉士・保健師などがおり、専門職があなたのために最善な道を案内してくれると思います。

生む、生まないにかかわらず、悩みがあり、解決できない状況なら、できるだけ早く産婦人科を受診し、相談してください。産まない選択をする場合は、人工妊娠中絶手術が可能な期間は妊娠22週未満です。

どんな話をするの？どんな制度が利用できるの？

あなたの内情をいたわりながら、今後のことについて話をしていくことと思います。

産もうとしているのか、産まないのか？、
産まないのなら、今は妊娠何週なのか？（堕胎できるのは妊娠22週未満です）、
妊娠週期が22週以上でおろせなかった場合、子どもの養育はどうするのか？、
子どもを養育する力（ちから）がない場合の預け先について・・・などなどです。

その内容によって、国や市町村で利用できる制度を利用したり、民間の力を借りたりします。
例えば・・・

 １、妊婦健診するお金が心配の場合は、

お住まいの市町村窓口へ妊娠の届け出を行うと「母子健康手帳」と「妊婦健診の助成券」を受け取ることができます。妊娠から出産までの健診について、各市町村が助成しています（一部自己負担が生じる場合もあります）。

２、出産費用が心配の場合は、

■出産育児一時金…加入している健康保険又は国民健康保険から、出産費用として42万円（上限額）が原則病院に直接支払われます。手続等については、加入している健康保険担当窓口へお問合せください。

■健康保険に未加入の場合…入院助産制度を利用できる場合があります。入院助産制度とは、経済的理由により入院して出産することができない妊産婦が利用できる制度です。他からの援助も期待できない妊産婦の方を対象に、出産にかかる費用を公費で負担します。所得に応じて一部自己負担があります。助産施設として認可されている病院での出産となります。

３、生活が困難な場合は、

■生活保護制度…生活に困っている方に対して、最低限の生活を保障し、自分で自分の暮らしを支えられるよう支援する制度です。福祉事務所へお問合せください。 

■母子生活支援施設…配偶者のいない方（女性）とその子供が入所でき、自分で自分の暮らしを支えられるよう生活を支援する施設です。退所したあとについても、相談その他の援助をします。

４、育てられない場合は、

どうしても自分では育てられない方はお住いの市町村や最寄りの児童相談所へご相談ください。あなたと生まれてくる赤ちゃんを第一に、一緒に考えてくれます。

■養育支援制度（里親、乳児院、養子縁組など）

■子育て支援サービス…一時的に家庭でお子さんを養育できない場合等に、児童養護施設等で一時的にお子さんをお預かりする事業です。 お子さんを、1週間程度お預かりする「短期入所生活援助（ショートステイ）事業」と、平日の夜間または休日にお預かりする「夜間養護等（トワイライトステイ）事業」の2種類があります。

社会福祉士がいる相談先や、区市町村・自治体の相談先ですと、これらの制度についてはプロです。さまざまな部署の担当と連携して、母子を守る計画を行ってくれるはずです。

全国のにんしんSOS相談窓口

●民間団体の独自事業による妊娠SOS相談（相談は全国対応）

●自治体の事業による妊娠SOS相談 

※参考資料：一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク 

このほかにも、表（おもて）に出ていない制度や利用できる援助があるはずです。ここに当てはまらない「妊娠の悩み」だとしても、まず一度相談機関へ連絡しましょう。